Skip to content

社会保険 ​

このページの目的:健康保険・厚生年金保険の保険料の決まり方(標準報酬月額・算定基礎届)と、会計での扱い(法定福利費)を理解する。

基本 ​

ここでいう「社会保険」は、健康保険・介護保険・厚生年金保険 を指します(雇用保険・労災保険は「労働保険」。雇用保険)。

  • 保険料は 標準報酬月額 × 保険料率 で計算し、会社と本人で折半します。
  • 会社は原則、前月分の保険料を当月支給の給与から控除します。
  • 会社負担分は 法定福利費(費用)、本人負担分は 預り金(社会保険料) で処理します。

WARNING

保険料率は毎年改定されます(健康保険・介護保険は協会けんぽの「都道府県別・年度別 保険料額表」、健保組合は組合ごと)。厚生年金保険料率は全国一律で現行 18.3%。金額は必ず最新の保険料額表で確認してください。

対象になる人(加入要件) ​

  • 法人であれば、役員を含む常時使用される人は原則加入。
  • パート・アルバイトは、1週間の所定労働時間・1か月の所定労働日数が通常の労働者の 4分の3以上 なら加入。
  • 一定規模以上の事業所(特定適用事業所)では、週20時間以上・月額賃金8.8万円以上などの 短時間労働者も加入対象。

標準報酬月額 ​

実際の報酬を、区切りのよい金額(等級)に当てはめたもの。保険料と、将来の年金額の計算の基礎になります。

報酬には、基本給のほか 通勤手当・住宅手当・残業手当など、労働の対償として受けるものを含めます(見舞金など臨時のものは除く)。

定時決定(算定基礎届) ​

  • 毎年 7月1日〜10日 に「算定基礎届」を提出します。
  • 4月・5月・6月に支払った報酬の平均で標準報酬月額を決め直します。
  • 新しい標準報酬月額は、その年の 9月分(10月納付分)から翌年8月分まで 適用します。

随時改定(月額変更届) ​

  • 昇給・降給などで 固定的賃金 が変わり、
  • 変動月以後の 3か月の報酬の平均 による標準報酬月額に、従前と比べて 2等級以上の差 が生じたとき、
  • 「月額変更届」を提出し、標準報酬月額を改定します。

計算例 ​

数値は説明用です

料率は年度・都道府県で変わります。下の健康保険・介護保険の料率は仮の数値です。実務では その年度の協会けんぽ保険料額表 の「標準報酬月額」の行を見て、本人負担額をそのまま読み取ります。

前提:役員 A さん、45歳(介護保険の対象)、役員報酬 月額 500,000円、東京都、協会けんぽ加入。

① 標準報酬月額を求める

報酬月額 500,000円 → 標準報酬月額 500,000円(報酬月額 485,000円以上 515,000円未満の等級)。

② 本人負担額を計算する(標準報酬月額 × 料率 ÷ 2)

保険料率(仮)本人負担(= 500,000 × 料率 ÷ 2)
健康保険10.0%25,000円
介護保険(40〜64歳)1.6%4,000円
厚生年金18.3%(全国一律・現行)45,750円
本人負担 合計約 74,750円

会社負担も、ほぼ同額(子ども・子育て拠出金は全額会社負担のため厚生年金部分は会社がやや多い)。

③ 給与から控除:当月の給与計算で、A さんの給与から 74,750円を「預り金(社会保険料)」として差し引く(原則、前月分)。

賞与の保険料 ​

  • 標準賞与額(税引前の賞与額から1,000円未満を切り捨てた額)× 保険料率。
  • 上限あり(健康保険は年度の累計額に上限、厚生年金は1回あたりに上限。金額は要確認)。
  • 支給後5日以内に「賞与支払届」を提出します。

入社・退職があったとき ​

保険料は 月単位 です(日割りしません)。「その月の保険料がかかるか」は、資格の取得・喪失の月で決まります。

場面手続き保険料
入社「資格取得届」を5日以内に提出資格取得日の属する月から 発生(月末入社でもその月の保険料は満額かかる)
退職「資格喪失届」を5日以内に提出資格喪失日(=退職日の翌日)の属する月の 前月分まで 発生
  • 月の途中で退職 → 退職日の翌日が同じ月内 → その月は保険料 なし(前月分まで)。
  • 月末に退職(例:3/31退職)→ 喪失日は4/1 → 3月分まで 保険料あり。最後の給与で2か月分を控除する場合があるので注意。
  • 同月得喪(同じ月に入社し退職)→ その月の保険料は原則かかる(厚生年金は要件により還付されることも)。

納付 ​

  • 保険料は、翌月末までに納付します(口座振替が一般的)。
  • 「保険料納入告知額・領収済額通知書」の金額と、帳簿の 預り金(社会保険料)+ 法定福利費 の合計を照合します。

法定福利費 と 福利厚生費 の違い ​

科目内容例
法定福利費法律で義務づけられた保険料の 会社負担分健康保険・厚生年金・介護保険・雇用保険・労災保険の事業主負担分、子ども・子育て拠出金
福利厚生費会社が 任意 で行う従業員向けの支出慶弔見舞金、健康診断、社員旅行、忘年会、常備薬

実務での処理(会計入力) ​

text
(給与支払時:本人負担分を預り金へ)
借方 未払金 / 貸方 預り金(社会保険料)  74,750

(会社負担分を計上)
借方 法定福利費 / 貸方 未払費用  75,000

(翌月末の納付)
借方 預り金(社会保険料)  74,750 / 貸方 普通預金  149,750
借方 未払費用             75,000

※金額は上の計算例に対応した概算。実際は納入告知書に合わせます。全体像は 給与(会計入力)。

チェックポイント ​

  • 算定基礎届の反映月(9月分=10月納付分)から新しい標準報酬月額になっているか
  • 昇給・降給があった場合、随時改定の要否を確認したか
  • 入社・退職者について、資格取得月・喪失月の保険料の有無が正しいか
  • 預り金(社会保険料)の残高が、翌月の納入告知額と整合しているか
  • 法定福利費と福利厚生費を分けているか

よくあるミス ​

  • 標準報酬月額が古いまま(算定基礎届・随時改定の反映もれ)
  • 月末退職と月中退職で、退職月の保険料の扱いを誤る
  • 会社負担分を計上せず、法定福利費が過少になる
  • 健康診断費用や慶弔費を法定福利費に入れてしまう(→ 福利厚生費)

関連ページ ​

社内利用限定 / 無断転載を禁じます