テーマ
社会保険
このページの目的:健康保険・厚生年金保険の保険料の決まり方(標準報酬月額・算定基礎届)と、会計での扱い(法定福利費)を理解する。
基本
ここでいう「社会保険」は、健康保険・介護保険・厚生年金保険 を指します(雇用保険・労災保険は「労働保険」。雇用保険)。
- 保険料は 標準報酬月額 × 保険料率 で計算し、会社と本人で折半します。
- 会社は原則、前月分の保険料を当月支給の給与から控除します。
- 会社負担分は 法定福利費(費用)、本人負担分は 預り金(社会保険料) で処理します。
WARNING
保険料率は毎年改定されます(健康保険は都道府県・健保組合ごとに異なる)。金額は必ず最新の「保険料額表」で確認してください。
対象になる人(加入要件)
- 法人であれば、役員を含む常時使用される人は原則加入。
- パート・アルバイトは、1週間の所定労働時間・1か月の所定労働日数が通常の労働者の 4分の3以上 なら加入。
- 一定規模以上の事業所(特定適用事業所)では、週20時間以上・月額賃金8.8万円以上などの 短時間労働者も加入対象。
標準報酬月額
実際の報酬を、区切りのよい金額(等級)に当てはめたもの。保険料と、将来の年金額の計算の基礎になります。
報酬には、基本給のほか 通勤手当・住宅手当・残業手当など、労働の対償として受けるものを含めます(見舞金など臨時のものは除く)。
定時決定(算定基礎届)
- 毎年 7月1日〜10日 に「算定基礎届」を提出します。
- 4月・5月・6月に支払った報酬の平均で標準報酬月額を決め直します。
- 新しい標準報酬月額は、その年の 9月分(10月納付分)から翌年8月分まで 適用します。
随時改定(月額変更届)
- 昇給・降給などで 固定的賃金 が変わり、
- 変動月以後の 3か月の報酬の平均 による標準報酬月額に、従前と比べて 2等級以上の差 が生じたとき、
- 「月額変更届」を提出し、標準報酬月額を改定します。
賞与の保険料
- 標準賞与額(税引前の賞与額から1,000円未満を切り捨てた額)× 保険料率。
- 上限あり(健康保険は年度の累計額に上限、厚生年金は1回あたりに上限。金額は要確認)。
- 支給後5日以内に「賞与支払届」を提出します。
法定福利費 と 福利厚生費 の違い
| 科目 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 法定福利費 | 法律で義務づけられた保険料の 会社負担分 | 健康保険・厚生年金・介護保険・雇用保険・労災保険の事業主負担分、子ども・子育て拠出金 |
| 福利厚生費 | 会社が 任意 で行う従業員向けの支出 | 慶弔見舞金、健康診断、社員旅行、忘年会、常備薬 |
会計入力では、この2つを混同しないようにします。
納付
- 保険料は、翌月末までに納付します(口座振替が一般的)。
- 「保険料納入告知額・領収済額通知書」の金額と、帳簿の 預り金(社会保険料)+ 法定福利費 の合計を照合します。
- 子ども・子育て拠出金は全額事業主負担(法定福利費)。
実務での処理(会計入力)
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(給与支払時:本人負担分を預り金へ)
借方 未払金 / 貸方 預り金(社会保険料) 43,650
(会社負担分を計上)
借方 法定福利費 / 貸方 未払費用 43,650
(翌月末の納付)
借方 預り金(社会保険料) 43,650 / 貸方 普通預金 87,300
借方 未払費用 43,6501
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※金額は例。実際は納入告知書に合わせます。仕訳の全体像は 給与(会計入力)。
チェックポイント
- 算定基礎届の反映月(9月分=10月納付分)から新しい標準報酬月額になっているか
- 昇給・降給があった場合、随時改定の要否を確認したか
- 賞与の保険料(標準賞与額)を計上しているか
- 預り金(社会保険料)の残高が、翌月の納入告知額と整合しているか
- 法定福利費と福利厚生費を分けているか
よくあるミス
- 標準報酬月額が古いまま(算定基礎届・随時改定の反映もれ)
- 入社月・退職月の控除を誤る(資格取得日・喪失日の確認不足)
- 会社負担分を計上せず、法定福利費が過少になる
- 健康診断費用や慶弔費を法定福利費に入れてしまう(→ 福利厚生費)