テーマ
雇用保険
このページの目的:雇用保険料の計算方法と、労災保険とあわせた「労働保険」の年度更新の流れを理解する。
基本
雇用保険は 労災保険とあわせて「労働保険」 と呼びます。失業給付・育児休業給付・雇用継続給付などの財源です。
- 保険料は その月の賃金総額 × 保険料率 で計算します(社会保険のような「標準報酬」「等級」はなく、実際の支給額ベース)。
- 本人負担率と事業主負担率が異なり、事業主負担のほうが大きいです。
- 料率は 事業の種類(一般の事業/農林水産・清酒製造の事業/建設の事業)で異なり、毎年度見直し されます。
WARNING
保険料率は年度ごとに変わります。必ずその年度の「雇用保険料率表」で計算してください。
対象になる人
- 1週間の所定労働時間が 20時間以上、かつ 31日以上 雇用される見込みの人。
- 役員は原則対象外(実態として労働者性がある使用人兼務役員の「使用人部分」など、例外の判断は要確認)。
毎月の控除
- (その月の賃金総額)×(被保険者負担率)を給与から控除し、預り金(雇用保険料) で受けます。
- 賃金総額には、通勤手当・残業手当・賞与なども含めます。
計算例
数値は説明用です
被保険者負担率は年度で変わります。必ずその年度の料率で計算してください。
前提:従業員 B さん(一般の事業)、その月の賃金総額 300,000円(通勤手当込み)。被保険者負担率を仮に 0.55% とする。
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300,000円 × 0.55% = 1,650円
→ B さんの給与から 1,650円 を「預り金(雇用保険料)」として控除- 役員 A さん(役員報酬 500,000円)は雇用保険の対象外なので、雇用保険料は発生しません。
- 事業主負担は本人負担より高い率(労災保険料も全額事業主負担)。
納付:労働保険の年度更新
雇用保険料は毎月納付しません。年1回、労災保険料とあわせて精算します。
- 毎年 6月1日〜7月10日 に「年度更新」の手続きを行います。
- 前年度の 確定保険料(実際の賃金総額で計算)と、当年度の 概算保険料(見込みの賃金総額で計算)を申告・納付します。
- つまり保険料は、いったん概算で前払いし、翌年度に精算するイメージです。
入社・退職があったとき
| 場面 | 手続き(期限) |
|---|---|
| 入社 | 「雇用保険被保険者資格取得届」を 翌月10日まで に提出。 |
| 退職 | 「雇用保険被保険者資格喪失届」+「離職証明書」を 10日以内 に提出。会社が 離職票 を本人に交付する(失業給付の申請に必要)。 |
- 毎月の保険料は賃金を支払った月ごとに控除するので、入社月・退職月は実際に支払った賃金額で計算すればよい(社会保険のような「月単位で満額」という考え方はしない)。
会計処理の考え方
- 毎月の 本人負担分 は
預り金(雇用保険料)。 - 会社負担分・労災保険料(全額事業主負担)は、事務所の方法に従って処理します(例:概算納付時に
前払費用/立替金で計上し、年度更新で法定福利費に振替、など)。処理方法は担当者に確認してください。
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(給与支払時:本人負担分)
借方 未払金 / 貸方 預り金(雇用保険料) 1,650
(年度更新で納付したとき:例)
借方 法定福利費 / 貸方 普通預金 (確定・概算の事業主負担分)
借方 前払費用 (翌年度分の概算)
借方 預り金(雇用保険料) (1年間の本人負担預り分の充当)※金額・科目は例。実際の処理は事務所のやり方に合わせます。全体像は 給与(会計入力)。
チェックポイント
- その年度の料率を使っているか(前年度のままにしていないか)
- 賃金総額に賞与・通勤手当などを含めているか
- 役員に雇用保険料を控除していないか(対象外)
- 入退社時の資格取得届・喪失届(離職票の交付)を出したか
- 預り金(雇用保険料)の1年間の累計が、年度更新の本人負担分と整合しているか
よくあるミス
- 社会保険料と同じ「前月分」「月単位で満額」の感覚で処理してしまう(雇用保険は当月の賃金ベース)
- 本人負担率と事業主負担率を取り違える
- 役員から雇用保険料を控除してしまう
- 年度更新の概算・確定の精算を会計に反映し忘れる